今日も一日お疲れ様です!
今日は子どもの言葉の発達や大人の関わり方について「療育」の考え方を中心にお話しします!
うちの子言葉の発達がゆっくりなんだけどこのままで大丈夫かな…
言葉がゆっくりな子もそうでない子も、言葉や語彙力、コミュニケーション能力を考えるうえできっと役に立つお話しになるかと思います
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本日の引用書籍
本日は以下の書籍を中心に引用して記事を作成していきます
タイトル | 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て |
著者 | 吉田友子 |
発売日 | 2009/6/3 |
自閉症を持つ子の親に向けた本書ではありますが、本書の中で記されている育児の考えや関わり方はどのお子さまにとっても大事な内容になっております
大事なのは子どもが自分に「誇りや自信」をもつこと
言葉の発達も含め、発達支援において、子どもに関わる際にはよく療育の考えが用いられます
障害のある子やその可能性のある子に対し、個々の発達の状態や特性に応じて、今の困りごとの解決と、将来の自立と社会参加を目指し支援をすること
今回も例に違わず、療育の考え方を中心にお話しします
療育って訓練って聞いたことあるけど、厳しい感じなのかな?
発達支援の現場で保護者さまとお話しすると、このようなお気持ちの方は多くいるように思います
机に向かって「お勉強」させる場面が頭に浮かぶかもしれません。でもそれは誤解です。
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
<中略>
療育の目標は、子どもが自分に自信と誇りをもって暮らせるおとなになることです。技術を教えこむために自信や誇りを失わせては元も子もありません。
<中略>
いちばん大切なことは、今の、この幼児期に、できるだけ多くの安心と自信を子どもにもたせることです。そのためにはたしかに技術はないよりあったほうが有利なので、技術を教えるのです。
技術よりも先にまずは「子どもの心」が優先されるのが療育です
そのため、「精神をすり減らして必死に訓練をする」というのが療育とは真逆の考え方になります
もちろん、お子さまのためにお母さんお父さんが心身を削るというのも療育とは真逆の考えです!
お子さまを温かく受け止めてあげるためにも、お母さんお父さんが健康でいることが大切ですね
コミュニケーションを育てる
言葉の発達がゆっくりな時どんなふうに関わればいいか、保護者さまから相談を受ける際に、多くの方は「絵本をたくさん読み聞かせなきゃ」「絵カードなどを使って単語を増やさなきゃ」というイメージをお持ちかと思います
それ自体はそれぞれとても大切なことではありますが、言葉の発達を促すうえで多くの専門家が最優先にしていることは、「伝わるの楽しいな」「伝わると助かるな」という気持ちを刺激してあげることです
そのため、本書の中では「コミュニケーション」に触れ以下のように記されています
重要なことは、口から発することばの数だけ・文章の長さだけを発達の目安にしなことです。
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
<中略>
コミュニケーションを伸ばすうえでいちばん大切なことは、人と情報をやりとりすることの便利さ・楽しさ・必要性に早く気づかせることです。
まずは「指差しができたら、欲しがっているものをとってあげよう」と[指差し行動]が安定してできるように促してみるなど、あくまで「コミュニケーション」を中心に考えることが結果として言葉の発達を促すことになると考えられます
言葉の受信力はどれくらい?
言葉がゆっくりなお子さま、そう聞くと大抵「発語が少ない子」「あまり会話が得意ではない子」を思い浮かべるかもしれません
しかし、子どもの育ちは「発する」よりも「受け取る」が先に来ます
まずは「受け取る力」に注目してみましょう
適切な発信は適切な受信に支えられて発達するものです。つい見逃しがちな問題だからこそ、わたしたちはまず受信から考えてみましょう。
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
例えば受信の力とはどんなものでしょう?
・どの程度の単語はわかるのか
・複数の単語の組み合わせは理解できるか
・実物や写真などがなくても言葉だけで何をさしているか理解できるか
・人や場面が変わっても同じように理解できるか
・数は順に数えるだけでなく、個数を理解しているか
・大小、長短、前後などは分かるか
これらを組み合わせ、
青いお皿を、2つ、パパに持って行ってあげて
などのやり取りをしてみてもいいかもしれません
この伝え方で伝わらなければ「このお皿をパパに持って行ってあげて」など少し簡単な表現にしてあげてもいいと思います
先述した通り、大事なのは「楽しい」という感覚なので、まだ理解するのが難しい言い方を繰り返すのではなく、まずは「今できるレベルの表現」を楽しみ、レディネスを整えることが大切かと思われます
人が何かを学習する際の準備段階のこと
本書では、受信の力を伸ばす方法として以下のようなことを提案しています
視覚的な情報が中心の、パターン的な遊びから始めましょう。
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
<中略>
「魚が跳ねた」や「髭じいさん」は自閉症スペクトラムの子どもにも人気の手遊び歌です。
最近はyoutubeでも多くの手遊び動画がアップされているので、お子さまと一緒にお気に入りの動画を探してみるのもいいかもしれませんね
初めての手遊びなどには慣れる時間が必要な子も多いので、お子さまがあまり関心を示さなくても何回か一緒に遊んでみるといいかもしれません
他にも、本書の中では受信の力について以下のような章立てで深く解説されています
①キャッチボール初心者には受けとりやすい球筋を
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
②確実に受信できる言語理解の水準を確かめましょう
③話しことば以外のコミュニケーション手段の理解力も一律ではありません
④受信できる情報が用意されていないことの危険
⑤受信できる水準は状況によって変動します
⑥受信することを楽しむ
⑦禁止の指示を出しても受けいれられない場合
どれも興味深い内容ですので、是非一度手に取ってみてください
発信する力は何歳になってもヘルプサインから!
コミュニケーション能力は「伝わるの楽しい」「伝わると助かる」という感覚を刺激してあげるのが大事という話を先述しました
遊びの延長で「ぶーぶー」や「にゃーにゃー」などの幼児語から徐々に言葉が増えてくるでしょう
その一方で、コミュニケーションがそもそも苦手なお子さまは、言葉や態度を本来の社会的な使い方と違った使い方をしていることがあります
例えば、以下のことがあげられます
・緊張するとニヤニヤしてしまう
・不安になると自分のお気に入りのセリフを繰り返す
・会話に詰まって部屋の外に出てしまう
我々大人も気まずい会話や、極度の緊張から抜け出すために、不合理な態度や言動をすることありますよね
これらの発信が子どもからあった場合、今度は我々大人の「受信力」が試される番です!
本書ではこれらの発信への対応について以下のように記されています
こんなときには、手掛かりが少なすぎるのではないか、質問が難しすぎるのではないかと考えてみることです。そして同時に、子どもが「わからないよ」ということを表明できるように積極的に教えてあげる必要もあります。
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
我々のような、発達支援、不登校支援、引きこもり支援などに携わる人間がよく口にする言葉として「ヘルプサイン」がよく上げられます
援助を求めるなんらかの行動のこと
コミュニケーションが苦手なお子さまは困っている時に上手く発信できず、必要以上に自分の中で解決しようとしたり、抱え込んでいたり、悩んでいたりすることが多くあります
そのようにして困りごとを内側にため込むことが、ゆくゆくは二次障害に繋がるケースがすくなくありません
子どもの特性に合った関わり方や必要な支援を受けることができず、強いストレス体験が多く発生し、精神疾患や社会適応に困難さが出てしまっている状態
そのため、保育・幼稚園から小学校に上がる時には「箸を持つ」「字を書く」「椅子に座る」というようなスキルよりも、まずは「困っていることを発信できる」というヘルプサインを発信するスキルが求められることが多いです
年齢の大きなお子さまであれば、「改札の見方」「地図の見方」「時刻表の見方」よりも先に、「どの人(制服を着た人など)に、どんな言葉で助けを求めればいいか」を身に付けておくといいかもしれません
別の角度からヘルプサインの重要性について本書では以下のように記載されています
手助けがあればできなかったことが自分でできる、できなかったことができるとうれしい。こういう経験を積んでいない子はできないかもと思ったとたんに投げ出してしまうことが多いです。あるいは逆に完成するまで自分を許せず、結局はパニックを起こしたり、たとえ完成しても疲労とイライラをあとまで引きずったりしがちです。
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
上手に助けを求めるためには、日頃から子ども自身が「手助けを求めて上手くいった」という体験を積み重ねておくことが大切です
でも何回も「わかんない」「やめたい」とか言われるとサボり癖がついてしまいそう
あまりにも「分からない」「やめたい」という主張が続く時は、
・もしかして課題が常に難しすぎるのかも?
・必要な情報が用意されてないのかも?
・勉強そのもの以外の理由(例えば人間関係)があるのかも?
・今まで厳しくしすぎてた場合、その反動かも?
など、周辺の要因を考えてみてもいいかもしれません
いずれにせよ、コミュニケーションが苦手な子の場合、何に困っているかはなかなか上手く言えません彼等彼女等なりのヘルプサインを受け止めてみて、色々と考えてみるといいかもしれませんね
他にも、本書では「発信する力」について以下のような章立てがされています
①困っているということ、手助けしてほしいということを相手に伝える
吉田友子 高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て
②「わかりません」「助けてください」「休みたいです」と言えることは心の安定にもつながります
③コミュニケーションの相互性は教えられるか
④子どもの言い間違いを修正することには慎重に
⑤ルールにのっとって発信することを楽しむ
⑥不適切に人に話しかけにいくことには早期から介入を
まとめ
本日の内容は子どもの言葉の発達について、「コミュニケーション」を通じて伸ばしていこう、というお話しでした
今日のまとめです!↓
・言葉の発達は療育の「楽しむ」「自信がもてる」ような関わりを中心に考えよう
・「言葉」のみに注目せず「コミュニケーション」や「やり取り」を楽しめることから始めよう
・まずは、子どもの受信する力がどれくらいあるのかを見てみよう
・発信の力はヘルプサインを重点的に!
皆様の生活に少しでも役に立つ内容はありましたでしょうか
おもしろかった、つまらなかった、ここがよく分からなかった、この情報間違ってるよ!、おススメの映画教えて🎦、などご意見・ご質問等ございましたら、何でもお気軽にLINE(←リンクになってます)を送ってください!信じられないくらい気軽にお返事させていただきます^^
また、今回の内容は本書全体のほんのごくごく一部の内容にしか過ぎません
今回取り上げた内容以外にも、特に自閉症のお子さまの特徴や関わりについて大切なことが多く記載されています
是非、手に取ってみてください
育児で悩んだら専門家に相談するのもアリ
・ここまで記事を読んでみたけど、あまりにも上手くいくイメージができなさすぎる
・育児が本当にしんどい
・育児の心配が尽きない
そんな方は一度身近な専門家に相談するのもアリです!
多くの自治体で無料で専門家の相談を受けられるような窓口がありますので、
是非「〇〇市 発達 相談」「〇〇町 育児 相談」などのキーワードで調べてみてください
私でよければ有料ですがいつでも相談を受付けています(←リンクになってます)
友達追加だけであれば、こちらからは誰が追加したか分かりませんので、是非お気軽に^^
定期健診を行っている保健師さんや、通われている保育園/幼稚園/学校の先生方に直接話したり相談先を聞くのもおススメです
何よりも一人で抱え込まないことが大事です
お子さまと同じくらい大事な保護者さまですので、無理をする前に誰かに話してみてください